■2018.5.15号 No343
健康起因事故が近年増加
マニュアル等を活用し病気の前兆や自覚症状を把握
 T労働組合のAさんが昨年8月13日(日)23時54分頃、明治通りにおいて乗客1人を乗せ走行中、意識を失ったためガードレールを倒し工事現場の塀に衝突しました。この事故により、Aさんが死亡し、乗客が軽傷を負いました。
 事業者によると、出庫時の点呼では異常はなかった模様。乗客からは「運転者Aさんが走行中にいびきをかいて居眠りした」と苦情の電話が入りましたが、これは居眠りによるいびきではなく脳卒中によるものでした。突然意識を失って手足がマヒしたり、口がもつれたり、大いびきをかいて眠ったような状態になっていたら脳卒中です。
 「脳卒中」には次のタイプがあります。■脳出血―高血圧などで脳の血管が破れて、脳の中に血液があふれる。■脳血栓―動脈硬化で狭くなった脳の動脈に、血液のかたまりがつまって血液障害を起こす。■脳塞栓―身体の他の部分から流れてきた血液のかたまりなどが、脳の血管をつまらせる。■くも膜下出血―突然、後頭部の激痛と吐き気・意識障害を起こす。脳出血との区別は困難です。
 今回、別項で取り上げた「ハイタク事故」の事例集に、「脳溢血」「腹部大動脈瘤破裂」「鬱血性心不全」「急性硬膜下血腫」の4例の健康起因事故が掲載されています。
 健康起因事故は近年増加しており、運転中に脳血管疾患を発症すると、意識障害、運動麻痺により事故回避措置が取れず、重大事故を引き起こす原因になりかねなません。 今年2月に国交省が発表した「脳血管疾患を起因とする事案の発生状況と脳血管疾患対策ガイドライン」には「意識の異常」「目の異常」「めまい・頭痛」「言葉の異常」「手足の異常」などの症状が運転中に現れたらすぐに運転を中止し、専門医療機関での受診を勧めています。健康診断で再検査等の所見があった場合も同様です。また、脳ドックやそれの簡易版の脳MRIの受診が予防になります。
 さらに、国交省発行の「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」等も活用しながら、病気の前兆や自覚症状を把握することが重要です。
【東京地連・道交法対策委員会】