2021.12.15号 No406 連続の多重事故――現場検証で不起訴――

■2021.12.15号 No406
連続の多重事故
現場検証で不起訴

大阪市西区の交差点で、12月1日の午前6時ごろに徒歩で通行中だった30歳の男性が、合わせて4台の車にはねられ意識不明の重体。警察は、最初に男性をひいたとしてT容疑者を現行犯逮捕したほか、その後7分ほどの間に、路上に倒れていた男性を次々とひき逃げしたとして、3人を逮捕しました。大阪府警西署は同日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)や道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、警察は運転していた男性4人を逮捕し、そのうちの2人がタクシー運転手のS容疑者(77歳)らでした。
タクシー運転手のS容疑者は「周りの車もひいていて、そのままどこかに行ってしまったので私もいいかなと思い、その場から逃げました」と容疑を認めています。
また、もう一人のタクシー運転手Y容疑者は「事故を起こしたことはわかっていたが、救急車が来たし、仕事があったので立ち去った」と供述。さらに、T容疑者は走り去った後に現場に戻り、事故を申告したようです。現場は5車線で北向きの一方通行となっています。
ここで、東京地連道交法闘争の過去のたたかいを紹介します。Z交通のA乗務員が中原街道を走行中に何かに乗り上げたそうで現場に戻るとBさんが車にひかれていました。Aさんは、救急車を呼んだ後に警察の現場検証に立ち会いました。警察は、捜査で多重事故と判明し、現行犯逮捕をしなかったそうです。
Z交通労働組合は、南部ハイタク道交法対策部会と共同で現場検証を実施。科学的に車の位置や被害者の状況から最初にひいたのは、Aさんではない可能性が高いと判断し、検証結果を警察に提出しました。結果は、警察の捜査で先にひき逃げしたC容疑者を逮捕。Bさんを致死に至らしたのはAさんかCさんかは明らかになりませんでしたが、南部道対部と顧問弁護士の奮闘があり、不起訴を勝ち取りました。
大阪の事故は、S容疑者がひき逃げを認めており、2種免許をもつタクシー運転手への社会的批判が強まっています。Aさんのように、このような事故に遭遇した時は、現場での適切な対応が必要です。
【南部ハイタク道交法対策部】