2022.4.15号 No411 現場検証で判明――衝突回避ができない事実――
■2022.4.15号 No411
現場検証で判明
衝突回避ができない事実
2012年7月20日午後11時55分頃、T労組のAさんは、赤羽橋から札の辻に向かう桜田通りを実車で走行していました。三田2丁目の信号は矢印の「直進青」。Aさんは3丁目を右折するため速度を落とし、三田2丁目交差点に進入しました。同交差点では、中央寄り2車線に五反田方向に右折する車が並んでいました。その信号待ちの車の陰から赤信号にもかかわらず自転車が飛び出し、Aさんの車の正面バンパーに衝突。Aさんはすぐに救急車を呼び、警察と会社、組合に連絡しました。
組合・法対部が状況を調査すると①Aさんは次の3丁目の交差点で右折するため三田2丁目の交差点では速度を落とし時速21・8㎞で進入しています(ドライブレコーダーによる)。②自転車は赤信号にもかかわらず交差点に進入してきています。
法対部が同じ時間帯に現場検証を行った結果、Aさんが自転車に気が付き、避けようとしても右車線には右折待ちの車、左車線にはトラックが走行しており、衝突は回避できなかったことがわかりました。
法対部は、乗客の証言も得たうえで自転車が信号無視で衝突してきたのではどうすることもできないとして、加点入力停止申立書を府中の行政処分審査登録課に送付。あわせて、不起訴要請書を作成しました。相手の方は重傷とのことでしたが、その後、点数入力も地検からの呼び出しもなく、不起訴となりました。 「現場検証で判明し見えてくる事実がある」と合い言葉にするT労組の伝統の適確な措置が不起訴を勝ち取ったといえます。
この事案の背景には自転車の信号無視や車道の逆走による事故が増加している実態があります。警視庁によると、昨年1年間に都内で起きた交通事故のうち、自転車が絡む事故は約4割を占め、自転車の信号無視の違反は4年前の約8倍となっています。
東京地検は、自転車で悪質な信号無視を繰り返す違反者を道交法違反で略式起訴しています。事故対策として自転車専用レーンの設置など道路環境の整備とともに自転車運転者のモラル向上が喫緊の課題となっています。
【東京地連・道交法対策委員会】