2023.2.1号 No423 増加する健康起因事故――病気治療で免許取り消しを減免――
■2023.2.1号 No423
増加する健康起因事故
病気治療で免許取り消しを減免
乗務員歴18年のH組合Mさん(61歳)は、昨年9月に人身事故を起こし30日の免許停止処分となり、講習を受け、業務に復帰したその日に、追突事故(軽傷事故5点)を起こしました。
さらに11月には追突事故を発生させ8点の入力があり、免許取り消し対象となってしまったため、会社でドライブレコーダーを見て分析したところ、健康に起因する事故ではないかと指摘されました。
Mさんはこの指摘を受けて、相次ぐ事故に疑問を感じ総合病院で人間ドックを受診。事故に関連する病気の原因究明に専念することとしました。
このような追突事故で考えられるのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が考えられます。「昼間の耐えがたい眠気」や「集中力の低下」などが兆候として現われますが疲れと勘違いし、見逃してしまうことが多くあります。
総合病院で脳検査や心電図などの検査をはじめ、運転の適正検査などを教習所で受講しましたが異常は認められず、最後に受けた耳鼻咽喉科で重度の慢性副鼻腔炎とポリープが発見されました。
Mさんは早速入院して手術を受けることを選択し、ポリープを切除。その後、順調に回復し、医師からは「慢性副鼻腔炎は完治したので、タクシー乗務員の仕事に支障がない」と告げられ診断書も出してもらいました。
後日、警視庁の聴聞会では、所属する労働組合の法対部長が補佐人となり、当該組合の執行委員長も参加。補佐人はMさんの努力と事故の起因となった病気は手術して完治しており、診断書も出ているため、寛大な措置を聴聞官に求めました。
その結果、取り消しがワンランク引き下げられ180日の免停(講習を受けて100日)に軽減され、乗務に復帰することができました。 このような健康起因事故は増加傾向にあり、今回のケースは大事故には至らなかったことも幸いしています。
昼間の耐えがたい眠気、いびき、無呼吸、集中力の低下、のどの渇き、こむら返りなどの症状が頻繁に感じられる場合は一度、専門医となる耳鼻咽喉科の受診をお薦めします。
【東京地連・道交法対策委員会】