2023.4.1号 No425 自転車の死亡・重症事故 4割が歩道上――違反に対するペナルティが不十分――

■2023.4.1号 No425
自転車の死亡・重症事故4割が歩道上
違反に対するペナルティが不十分

4月1日から道路交通法が改正され、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されます。検察庁によると2022年に自転車に追突され、亡くなった歩行者は3人、重症を負った歩行者は309人となり4年振りに増加しています。312人が衝突された場所は歩道が全体の39・1%の122人で最多となり、歩行者が通る路側帯の19人(6・1%)と合わせると45・2%を占めます。この他、車道(横断歩道を含む)が73人(23・4%)、交差点内が77人(24・7%)となっています。
道路交通法上では「軽車両」に分類され、子どもや70歳以上の高齢者以外は「自転車通行可」の標識がある場合を除き、歩道を通行せず車道左側を走るのが原則。車と同様に信号無視や一時停止違反、飲酒運転も取り締まりの対象となります。昨年の死者、重症者の事故では自転車の運転者全員に道路交通法違反がありました。違反の種類としては①よそ見や前方不注意(27・9%)。②左右安全不確認(24・7%)。③歩行者が横断歩道を渡ろうとしているのに停止をしない歩行者妨害(14・7%)や信号無視なども多くなっています。
昨年の自転車が絡む事故は、約6万9千件に及び事故全体の23・3%を占め、歩行者が死傷(軽症含む)した事故は2950人で、年々増加傾向にあります。自転車が絡む事故が減らない要因として、違反に対するペナルティの仕組みが不十分であることが挙げられています。
悪質な違反に対しては自転車(軽車両)の場合、反則金を納付すれば無罪となる青切符と違い罰金刑につながる赤切符が切られます。しかし、赤切符を交付し検察に事件送致はするものの、罰金や起訴に至るケースは稀となっています。赤切符の交付件数は、増加傾向で年間2万件を超えていますが、自転車の性能向上とともに、増加する死亡・重症事故を防止するためには運転免許制度のような、減点などの新たな違反抑止制度の構築が求められます。
私たちハイタク産業においても自転車が絡む重大事故が増えています。交通ルールーを守らない自転車の走行には十分に注意しましょう。
【東京地連・道交法対策委員会】