2024.8.1号 No439深夜路上寝込みの泥酔者を轢く――免許取消処分から180日へ軽減
■2024.8.1号 No439
深夜路上寝込みの泥酔者を轢く
免許取消処分から180日へ軽減
K労組の組合員Aさんは23年7月20日土曜日、午前2時20分頃、神奈川県鎌倉市岡本付近の路上で、藤沢市方面から大船駅方向に空車のタクシーを運転していました。
制限速度40キロメートルのところ約67キロメートルの速度で進行し、前方の道路に寝込んだ被害者を約20メートル手前で気付づいたので、急ブレーキを踏みましたが間に合わず、被害者を轢いて死亡させてしまいました。
その後、本人が警察署に拘留されたため、K労組道対部は顧問弁護士に連絡し、本人への面会を依頼。事実の把握に努めました。
後日、事故が起きた同時刻に現場検証を実施した結果、何点かの事実が判明しました。
①Aさんが現場を通過する際、対向車がライトをパッシングし、そのライトと車両に気を取られ、判断が遅れた。
②現場は大船駅に通じる線路沿いの裏道で深夜には人通りがなく、現場付近の道路は直線道路から左へS字に曲がった付近で街灯も薄暗く見通しが悪かったので遠くからの確認は難しかった。
③事故発生の際、被害者はお酒に酔っており、自宅から離れた場所であるのに、何故この場所に居たかもわからない状態であった。
④被害者は、道路左側に座り込んだ状態で轢かれたことなどがわかってきました。
法対部はこれらの事実から、Aさんが起こした事故は過失責任はあるものの、防ぐことができなかった事故ではないかという観点から、情状酌量を求め、取り組むことにしました。
会社とK労組はAさんがタクシーの乗務員として勤務して6年半、無事故無違反でゴールド免許であったことや真面目に仕事しているなどを考慮し、上申書を提出。さらにAさんへの寛大な処分を求める嘆願書を作成し、1500筆近い嘆願署名を集め、検察庁へ提出しました。
後日、聴聞があり、15点が加点されましたが、免停180日に軽減され、講習後100日の免停となりました。法対部は、今回Aさんが免許取消処分を避けることができたのは、本人が初犯であったことはもとより、多くの支援の賜であったと確信しています。
【東京地連・道交法対策委員会】