2014.9.15号 No277 「改正行政不服審査法」が可決、成立 使いやすさと公平性のある制度へ

■2014.9.15号 No277
「改正行政不服審査法」が可決、成立
使いやすさと公平性のある制度へ

8月7日に開かれた「全都道交法学習会」でも報告されましたが、「改正行政不服審査法」が6月6日、参議院本会議で可決、成立しました。
この法律は、交通違反や課税額などの行政処分に不満がある場合、国や地方自治体にその取り消しや変更を求める際の手続きを定める法律で、1962年の制定以来、52年ぶりにはじめての全面改正となりました。
東京地連は3月13日、「不起訴なのに免許取り消し」となった行政処分の事案に関し、国会議員を通じて警察庁を介した衆議院内閣委員会交渉を行いました。そのなかで「処分に不服がある場合は、行政処分の不服申し立てをすればよい」とする警察庁に対し、「処分を決定した同じ部署が再審査する現在の制度では、結果が覆ることはない。再審査は第三者機関に委ねなければ意味がない」とこの法律の欠陥を指摘しました。
交通違反以外にも、住民税や生活保護では、課税額や支給額を決める部署の職員が不服審査に加わるなど公平性に問題があると指摘があったようです。こうした私たちを含む国民の声が今回の改正につながったと考えています。
さて、改正内容は①不服申立期間を現行の「処分決定後60日」から「3カ月」に延長すること。②審理において、職員のうち処分に関与しない者(審理員)が、両者の主張を公正に審理すること。③裁決について、審査結果が妥当かどうか点検する有識者からなる第三者機関を設けること―です。さらに、申し立てる人は担当部署が持つ関係書類を閲覧、コピーできるようにするとしています。これにより、密室で行われてきた審査の内容
が明らかになり、公正な審理が期待できます。
不服申し立ては、2011年度を例に取ると国と自治体を合わせて、約4万8千件あり、このうち交通違反関係では2,267件でした。
実は、大半を占めるのは年金受給額など社会保健関係と所得税などの国税関係です。
改正法の施行は2年以内。この制度が、救済を求める国民・労働者の声を反映し、使いやすい公平性のある制度に変わることを期待します。
【東京地連道対部】