2021.11.1号 No403 感覚はすぐに戻らない――長期療養明けは要注意――

■2021.11.1号 No403
感覚はすぐに戻らない
長期療養明けは要注意

東京地連組合員共済総会が、総数38人が参加して10月23日に行われました。コロナ禍で休業した単組も数多くあり、1月から2月は平均より給付金額が減少しているようです。
しかし、長期休業後の乗務は、運転が慣れるまで普段より慎重にウォームアップが必要で、段階的に通常に戻す必要があります。トラック運転を含め40年のベテランであるS交通Iさんは、脳梗塞を患い半年以上の長期リハビリを行い、復帰の医師診断書が出されました。
Iさんは、職場復帰することの喜びでいっぱいで、復帰の初日に、日報を受け取るや勇んでいつもの営業場所へ行き営業を開始。数回乗降を繰り返すと、疲れが倍増していると感じて、駐車違反になる可能性の低い場所で休憩に入りました。仮眠を取って目を覚ましたら、すでに夜の8時過ぎで慌てて深夜の営業に向かったそうです。午前2時には営業を終えて洗車業務を開始すると、右の側面に1ヵ所のこすり傷。左前バンパーにへこみの傷を発見しました。
Iさんは、会社に事故報告しますが、本人は何処で何時起こしたかを覚えていません。会社管理者のY課長は、「脳梗塞で頭が狂ったんだろう」と叱責しますが、本人は覚えがないものを答えようがありませんでした。
Y課長は、ひき逃げ事案になっていないかを案じ、ドライブレコーダーで分析すると、右側面の傷は午前中の休憩場所に移動中で、一方通行の右ガードレールに接触。本人は全く気づかず走行していました。左前のバンパーの傷は、深夜に数多くのお客様の乗降を繰り返すなかで、乗客が降車して車両を転回中、これもわずかに側溝に乗り上げた際の傷と判明しました。
Iさんは、組合のM委員長に相談し、Y課長と折衝を開始し「長期療養明けの乗務員を病気前と同様の扱いで出庫させたのですか。長期療養明けから運転感覚が戻る3出番は、注意が必要なのを知らないのですか」と問い詰めました。
Y課長も安全配慮が不足していたと認め、その後Iさんは、運転感覚が戻る3出番を昼間の8時間だけの乗務にした後、隔日勤務に復帰しました。
【東京地連・道交法対策委員会】