2023.5.1号 No426 事故起因の対応――公共交通に携わる者の 責任が問われる――
■2023.5.1号 No426
事故起因の対応
公共交通に携わる者の責任が問われる
道交法対策委員会は「電子機器の注視による事故の厳罰化」に伴い、アプリ配車時の機器使用が事故起因の場合の対応を憂慮していましたがこの度、最初の事案と思われる事故が発生しました。
昨年9月15日午後9時20分頃、羽田空港3❘3番地先の第2ターミナルから第1ターミナルに向かう交差点で事故は起きました。
Q交通グループの乗務員は55歳で入社9ヵ月目ですが、羽田空港の周回道路から離脱できず少し焦っていました。交差点を右か直進か迷い、ナビを注視していたため、前を見ておらず左方向から青信号で直進してきたワゴン車の右側面にノーブレーキで激突してしまい、ワゴン車ははずみで交差点右10メートル程先で左側面を下に横転しました。
当該労組道対部は、会社の事故担当係とドライブレコーダーの検証をし驚きました。映像では乗務員が前を見ていないことを確認していましたが事故後、相手運転手を助けに行くどころかタクシーの後部ドアを開け事故報告書を探し始めたのです。
相手方の運転手は後続車両の運転手たちに助け出されましたが、首に違和感を感じ通院したところ、全治2週間の診断書が出されました。
事故を起こした運転手は事故後、会社に報告したあと数日間、連絡が取れなくなり、ケガをしているのかと心配していましたが、本人はクビになるだろうと次の勤め先を探していたとのことでした。
道対部は組合の共済部に報告し、手続きを始めましたが本人の協力がなく刑事、行政の手続きに後れを取りました。
結果、今年2月10日付けで50万円の罰金がきました。共済で処理できますが、問題は行政処分です。在職中に報告がなかったのでどうなったのかさえわかりません。
今回の事故は罰金額が機器使用のためなのか、判決文にはその記述はなく、会社の事故対策センターの話では、相手方が被害者調書で自分に非はないと話しており、単純に交差点内で信号無視をして相手方車両を横転させたからではないかとの見解でした。
公共交通に携わる者の責任が問われた事案だったと思われます。
【道交法対策委員会・原島委員】