2023.10.1号 No430 増加する 過失運転致傷事案――共済加入で備えあれば憂いなし――

■2023.10.1号 No430
増加する過失運転致傷事案
共済加入で備えあれば憂いなし

今回の実戦道交法は後悔先に立たずとなった案件を紹介します。
U交通労組の書記長Qさんは、新しく組合加入したMさんを、組合が加入しているATU東京共済へ、新規加入者として手続きを完了させました。
後日、Q書記長は組合の説明とともに組合費の内容などについてMさんに説明したところ、タクシー歴25年のMさんは違反や事故がこれまで一度もなく、ATU東京共済加入の必要はないとして、共済加入を拒否しました。
Q書記長はATU東京共済が原則、組合員全員加入が条件であることをMさんへさらに説明し、年度内で罰金1回(7割支給)、反則金2回(10割支給)などの優位点を強調しましたが、それでもMさんは納得することなく25年無事故・無違反のプライドにかけて組合を脱退していきました。
それから4ヵ月が経過した頃、Mさんは信号無視により横断歩道上で自転車と接触。安全確認不十分の人身事故を引き起こし、過失運転致傷等事案となり40万円の罰金がくだり、後悔先に立たずで罰金は全額自己負担となってしまいました。
初めて事故を起こしてしまったMさんは「事故は絶対に起こさない」という過信を猛省し、交通共済の必要性を痛感。U交通労組に再加入しました。
22年度のATU東京共済で違反率が高い交通違反ベスト3の、1位は通行禁止違反160件、2位は信号無視違反153件、3位が横断歩行者等妨害等違反105件となっています。これらの違反は横断歩道上や交差点内での大事故につながるケースが多く、重点的に取り締まる傾向にあります。過失運転致傷等で多い事案が、横断歩道上での安全確認不十分の人身事故で自転車や普通自動二輪車との接触となり、件数も前年から増加しています。
東京地連では、安全輸送を確立する観点から道交法対策とともに万一事故・違反を起こした場合でも経済的な負担を少しでも軽減するため、相互扶助を目的としたATU東京共済を運営しています。独自に交通共済制度を運営されていない組合は、ATU東京共済の加入を推奨します。
【東京地連・道交法対策委員会】