2023.11.1号 No431 救護義務違反――必ず警察へ届け出ることが基本――

■2023.11.1号 No431
救護義務違反
必ず警察へ届け出ることが基本

今年の4月23日、午後2時に神楽坂でN労組のWさんは遅い昼食を終えて、駐車場に戻りエンジンを掛けるとすぐにアプリ配車を受けました。急いで駐車場を出ましたが、反対方向に向かっていることに気付き、コンビニの駐車場を借りて方向転換することにしました。
バックで駐車場に入りましたが、コツンという違和感を感じたので、車から降りて確認したところ自転車に乗った高校生がおり、Wさんは「大丈夫ですか、ぶつかりませんでしたか」と声を掛けました。高校生は「大丈夫です」と答え、スマホをいじっていたので、ぶつかっていないものと判断し、配車先へと急ぎました。
一日の仕事を終えて営業所に帰庫し、洗車中「警察からひき逃げの疑いで電話が入った」と職員が慌てて飛んできて、Wさんはその後、実況検分に立ち会うことになりました。
3ヵ月後、会社に東京都公安委員会から救護義務違反(ひき逃げ)に関する指導通知が届きました。会社は監査が入るのではないかとそればかりを心配し、Wさんや被害者への対応は二の次となっていました。Wさんは事の重大さに気がつき、組合法対部に相談しましたが、救護義務違反の付加点数は35点で運転免許証の取り消し事案であり、併せて高額な罰金刑に処せられることを知り、地獄に落ちるような思いでした。
組合法対部はWさんを守るべく、公安委員会への要請書を作成。聴聞会へ臨むための入念な準備を進めていましたが、8月になって今度は千葉県公安委員会(Wさんは千葉県在住)から通知があり、安全義務違反2点と人身事故付加点4点の計6点の処分通知が届きました。
東京都公安委員会と千葉県公安委員会の検分の違いはいまだにわかりませんが、Wさんは胸をなでおろすとともに、ぶつかったなどの違和感が少しでもあった場合は、必ず110番通報で警察に届け出ることが運転者としての義務であり、免許証を守る手立てとなることを身を持って痛感しました。
今回の事案のような救護義務違反にならないように警察への届出は怠らないようにしましょう。
【東京地連・道交法対策委員会】