2015.3.1号 No285 救護義務「大丈夫」の意味が重大 ~その場で通報することは自動車運転者の義務~
■2015.3.1号 No285
救護義務「大丈夫」の意味が重大
~その場で通報することは自動車運転者の義務~
昨年の9月9日午後1時頃、T労組のAさんはコンビニ付近を走行中に無線配車を受けました。
Aさんは、配車先に向かうために方向転換が必要と考え、コンビニの駐車場を使用することにしました。車を寄せバックした時に違和感があったので降車したところ、男性(高校生)が立っていました。
Aさんは「大丈夫ですか」と尋ねましたが、男性は「大丈夫です」と答えて、その場にしゃがみこみ携帯電話の操作をはじめました。Aさんは、男性はケガも何もしていないものと思い込み、そのまま配車先へ向かいました。
しかし、その日の夕刻、警察署から「男性がケガをしている」との連絡が営業所に入り、Aさんは現場に向かい、実況検分となりました。
約3ヵ月が過ぎた頃、東京都公安委員会から会社に救護義務違反(ひき逃げ)に対する指導通知が届きました。
会社は「監査が入るのではないか」と監査への対応のみを心配し、Aさんや被害者のことは二の次でしたが、Aさんにとっては一大事です。救護義務違反の付加点数は35点となり、運転免許証の取り消しとあわせて高額な罰金刑が科せられてしまいます。
組合道対部は、Aさんの免許証を守るべく公安委員会へ向けて要請書などを作成し、聴聞会に臨む準備をしていましたが、12月下旬に埼玉県公安委員会(Aさんは埼玉県在住)から安全運転義務違反2点と人身事故付加点の4点で合計6点の処分通知が届きました。
東京都公安委員会と埼玉県公安委員会の見解の違いは、何だったのか未だに釈然としませんが、いずれにしても今回の場合に限らず、まず110番通報をすることが運転者の義務であり、自分の免許証を守るためにも基本であることを思い知らされました。
仮に相手がその場では「大丈夫です」と立ち去っても、後で診断書を添え訴えてくることがあります。「大丈夫」は「大丈夫ではない」と理解する方が賢明です。また、今回のようにコンビニなど人の出入りが多いところでは常に状況が変わりますので発進時、特にバックの運転には十分注意する必要があります。
【東都労組法対部】