2016.5.15号 No308 「誘因事故」位置関係を検証 処分なしを勝ち取る

■2016.5.15号 No308
「誘因事故」位置関係を検証
処分なしを勝ち取る

2016年1月26日(火)午後11時20分頃、T組合のAさんは、旧山手通りを神泉方向に空車にて進行中、反対側の歩道に手をあげて乗車を申し込む男性を発見。左側に停車すべく車線を変更したところ、同時に異音(バイクの転倒音)に気づきました。
車を左に寄せて停車し、降りて確認したところ、転倒したバイクとケガをして倒れている男性を確認しました。バイクとタクシーは接触していませんでした。このような車両の非接触事故のことを、誘因事故といいます。
誘因事故を引き起こしてしまったとき、立ち去ってもかまわないと考える人もいると思いますが、このような判断は、最悪の結果を招きかねません。現場を見ていた方の通報によりナンバーがわかったあとに緊急手配され、逮捕されたケースが過去にあります。
このようなケースの場合、当然、救護義務として、救急車の手配(119番への電話)と通報義務として、警察への連絡(110番への電話)が求められています。
事故当日は、警察による簡単な現場検証がなされただけでした。その後、被害者の診断書が所轄署に提出され、現場検証をすることになりました。
当日、Aさんと組合の道対委員の立ち会いの下で現場検証が行われました。担当警察官は、しきりにAさんの進路変更が原因であるようなことをいっていました。
その後、4月16日に調書作成のためAさんは呼び出しを受けました。その間、警察の現場検証で残されたチョークの跡を参照し、現場見取り図を作成。その図をもとに車載カメラにて確認できるバイクとタクシーの位置関係をつぶさに検証しました。
その結果、バイクが急加速しながら転倒地点に接近していることを確認できました。
よって、この事故はバイクの無理な追い越しと前方不注意、並びにバイクの速度超過が主たる原因であるとの結論に至り、警察の調書もそれに沿ったものになりました。
なお、事故担当官に行政処分課へ送致するのかを尋ねたところ、「送致しない」との言質も取ることができました。
【東京地連・道交法対策委員会】