2019.6.1号 No362 高齢者対策をいそげ――同じ道路を走る運転手として――

■2019.6.1号 No362
高齢者対策をいそげ
同じ道路を走る運転手として

上北沢自動車学校労組の齊藤孝行委員長が、続出する高齢者の暴走事故について、自動車関連業界紙の取材を受け、意見を述べています。
齊藤委員長は「東京・池袋で87歳の高齢者が、暴走運転の果てに横断歩道に突っ込み、青信号で通行していた母子を死亡させた事故は、加害者の操作ミスの可能性があったのではないか、と思います。『ブレーキを踏んだつもりが、実はアクセルを踏んでいた』という見方ですが、高齢者は若い世代に比べ反射神経が鈍く、足腰が弱くなっている可能性が高い。若い人たちのようにブレーキを踏む力が弱い方も多数います。さらに75歳前後から弱くなり、80歳代になると、相当に弱くなっているように思えます。80歳代以降は、心身の衰えや変化が激しい。また、94年以前に免許を取得した人は教習所で急ブレーキを踏むことを学んでいないし、むしろ悪だと思い込む傾向がある」と分析したうえで、高齢者講習は「現在、70歳~74歳で免許更新を希望する場合は、更新手続き前に要受講となっています。講習では助手席で運転を観察しますが、10分間に2度も逆走し、その自覚がない人がいる。徐行と一時停止、右カーブと右折の区別もできていない。でも指導員は『こんな運転はしてはいけない』と諭すしかできないし、免許を取り上げる権限もない。さらに75歳以上の人は高齢者講習を受ける前に、記憶力・判断力の判定を内容とした認知機能検査を行いその結果、認知症のおそれがある―の場合は専門医の診断を受けることになる。しかし日本には専門医といえる医師が少ないため、かかりつけの医師から『問題ない』との診断書を提出して免許を更新しています」と指摘し、「全員とはいえないが、運転するのには危ういレベルであっても、ハンドルを握っているんです」として、①高齢者講習は65歳から受講させる。②80歳からは1年に1度のペースで受講を義務化して免許を更新するなどを提案しています。
私たちは、こうした高齢者も同じ道路を走っていることを常に視野に入れて、安心・安全走行に務めることが重要です。
【東京地連・道交法対策委員会】