2016.11.15号 No316 ロービームで事故が96% ハイビームが原則
■2016.11.15号 No316
ロービームで事故が96%
ハイビームが原則
交通事故による死者は毎年減少傾向にあり、昨年の交通事故の死者は4117人。このうち、自動車や自転車などに乗っていた死者は2571人で、過去10年で46%減少しています。一方、歩行中の死亡者は1534人で28%減であったことから、警察庁が歩行者の横断中の事故を集計・分析しました。
調査では、歩行者が夜間に道路を横断中、車にはねられた昨年1年間の全国の死亡事故625件のうち、597件、96%の車のライトがロービームだったことがわかっています。残りはハイビーム9件、補助灯6件、無灯火13件でした。
ヘッドライトには、通常、ロービーム、ハイビームが備えられています。道路運送車両法等では、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」とされ、ハイビームこそが通常モードで、ロービームは減光モードということになります。その照射距離は、ロービームは前方40m、ハイビームがその倍以上の前方100m先と定められています。
道路交通法第52条第2項では、夜間に他車両と行き違うときや前走車の直後を走る場合には、ヘッドライトの消灯あるいは減光する等灯火を操作しなければならないと定めています。この灯火の減光等の灯火操作に当たるものが「すれ違い用前照灯(ロービーム)」への切り替えです。
また、夜間の運転において、街灯で明るい都市部と違い、ハイビームが必要とされる暗い郊外や地方の道でもロービームのまま運転することは避けなければなりません。夜間の運転では、速度の抑制を図るとともに、ハイ・ローのライト切り替えを積極的に活用し、事故を防止することが求められています。
警視庁もタクシーが関わる重傷事故が急増していることから、8月1日付けの安全対策の再徹底を求める要請文書のなかでも、「夜間帯のハイビームの有効活用」を挙げています。
また、ヘッドライトには現在、角度調整機能もついていることから、ロービームを上向きにしたり、ハイビームをぎりぎり下向きにする工夫も必要です。
【東京地連・道交法対策委員会】