2015.5.1号 No289 悪質とみなされた場合は禁固刑 的確な弁護で減免へ
■2015.5.1号 No289
悪質とみなされた場合は禁固刑
的確な弁護で減免へ
東個労の組合員Aさんは、2013年10月25日午後11時45分頃、第一京浜国道を品川方面から新橋方面へ進行。札の辻交差点で左折の矢印の信号にもかかわらず直進したため、左から直進してきた法人タクシーと衝突し、運転手に一週間、乗客に93日間のケガを負わせてしまいました。(※注、札の辻交差点の上り車線は終日、芝浦方向への右折禁止、東京タワー方向へは矢印の左折信号、新橋方向へは矢印の直進信号が出る。)
Aさんは自らの過失を認め、被害者に謝罪しました。被害者は会ってくれませんでしたが、行政処分は60日の免許停止となりました。
しかし、刑事処分では「自動車運転過失傷害」で起訴となり、さらに正式裁判となってしまいました。
Aさんは、法対部に相談し、江東総合法律事務所の吉益弁護士、佐藤弁護士に弁護を依頼しました。
第1回審問は12月5日、東京地裁710法廷で行われ、検察は「禁固1年」を求刑しました。反対弁論で佐藤弁護士は、①Aさんが謝罪の気持ち表すため被害者に何度も連絡をしたが会ってくれなかったこと。②もし禁固1年となれば更新の通達により、たとえ執行猶予が付いても個人タクシーは廃業となってしまうこと。③そうなればAさんの家庭は崩壊すること―などを切々と訴えました。
12月18日、結審となったこの日、裁判官はAさんに対し「禁固10ヶ月、執行猶予3年」の判決を下しました。禁固刑となってしまいましたが、Aさんは個人タクシーを続けることができました。
このケースのように人身事故になった場合、免許点数による免停などの「行政処分」と罰金などの「刑事処分」が科せられます。事故の程度にもよりますが、この刑事処分は①略式裁判=公判を開いて裁くほどでもない〈罰金刑〉②正式裁判=公判が開かれ刑が確定する〈禁固刑または懲役刑、それに伴って執行猶予、罰金刑〉―にわかれます。悪質とみなされた場合、正式裁判となり、裁判の結果により禁固刑となります。ほんの少しの気の緩みが生活を破壊します。気をつけましょう。
【東個労・法規対策部】