2021.7.1号 No398 調書はわかっている ことだけ――わからないとの証言は一貫して――
■2021.7.1号 No398
調書はわかっていることだけ
わからないとの証言は一貫して
今号は、警察と検察の調書への対応について掲載します。刑事処分の証拠は、ほぼ警察での調書が使用されます。調書は、最後に内容を読み上げて同意のサイン(署名)を求められます。事故後の当事者心理として「①早く終わらせて帰庫したい。②どういう処分がでるか不安。③被害者への謝罪からくる自分に対しての嫌悪感」で、取り調べを冷静に対応できないようです。過去の案件を振り返り対応を学習しましょう。
組合員Aさんは、2012年8月5日午後17時46分頃、目黒区自由が丘2丁目18番付近の「すずかけ通り」を走行中、信号機のついた交差点にさしかかったところ、出合い頭に乗用車と衝突しました。当方タクシーは相手の側面にノーブレーキで突っ込み、相手方も交差点脇の電柱に衝突し、当方の乗客を含め7人が重軽傷を負うという重大事故でした。
Aさんは救急車を呼び、警察、会社、組合にもすぐに連絡しました。Aさんは、駆けつけた警察官に「信号はこちらが青だったと思うが、大きな壁が目の前に現れたようで瞬間の信号の色はわからない」と証言しました。組合では、翌朝、本人と一緒にすぐに現場検証を行い「①衝突した時の信号の色はわからない。②交差点の手前35メートルの地点では青信号だった。③時速は35キロくらい」といった事実関係だけを確認しました。
この事故では、ドライブレコーダーに頭をぶつけ、画像が録画されませんでした。組合法対部では、警察の現場検証にむけAさんに「①から③までのわかっていることだけ話す」「わからないところについては憶測は話さず、わからないと言う」ことを徹底しました。
現場検証の当日Aさんは、わかっている点だけを話し「大きな壁があらわれたのだから避けられなかった」と証言、調書にもそのように記載させました。7ヵ月後の今年3月末、検察庁から呼び出しがあり、数日後にAさんは不起訴決定しました。
Aさんの連絡が早かったこと、一貫した証言だったことが今回不起訴を勝ち取った大きな要因となりました。【南部ハイタク道対部】