2015.4.1号 No287 道路交通法改正試案  認知機能低下の違反で免許証の停止・取り消し対象

■2015.4.1号 No287
道路交通法改正試案
認知機能低下の違反で免許証の停止・取り消し対象

警察庁によると、免許保有者10万人あたりの交通死亡事故件数のうち75歳以上のドライバーは75歳未満の約2.5倍に上っており、「高齢化に伴い認知機能が低下すれば、事故のリスクが高まる」としています。そうしたことを理由に、警察庁は、今年1月16日から2月4日までの間、「道路交通法改正試案」に対する意見の募集(パブリックコメント)を行いました。
3月10日に集まった意見の要約とこれに対する警察庁の考え方が公表されました。
現在75歳以上は3年に1度の運転免許証の更新に際して認知機能検査を受けることとされています。しかし、3年を待たず認知機能が低下する場合もあることから、認知機能の現状に応じた安全教育を臨機に行うため、改正試案では、75歳以上の免許を受けた者が認知機能低下により起こしやすい違反をした場合に、公安委員会が記憶力や判断力を測る臨時認知機能検査を義務づける内容となっています。
臨時高齢者講習では、個別指導等により、特に認知機能の低下の状況に重点をおいた、本人の能力に応じた安全な運転行動の指導等を実施するとしています。
認知機能が低下している者に講習の効果が期待できないという意見に対し、運転指導として、①自分の運転能力の衰えを意識させる。②実際に乗務させて実車認知機能の低下している者が適切に行いにくい課題を設定し、失敗に対しその都度指摘・指導し、危険行為を自ら回避できるまで同じ課題を何度も繰り返し実施する。③夜間、雨天、知らない道、長距離、渋滞時、高速道路の運転は避け、助手席に同乗者を乗せ、減速して走行するなど運転に適切な制約をかけるように強く促す―としています。
また、認知症を患っている可能性が高い場合、医師の診断書提出が求められます。医師が実際に認知症と診断すると、免許証の停止・取り消し対象になります。
意見では、①75歳以上は免許証有効期限を3年より短くすべき。②免許に定年制を設けるべき―という内容もあったとのこと。高齢化が進んでいるタクシー業界も他人事ではない状況です。
【東京地連道交法対策委員会】