2021.10.1号 No401 押せない車いす対応――乗車拒否容認の場合も――

■2021.10.1号 No401
押せない車いす対応
乗車拒否容認の場合も

今号は、実戦道交法欄をお借りして道路運送法の乗車拒否について掲載します。
関東運輸局は、8月20日にトヨタのUD仕様「JPN TAXI」への電動車いすの乗車について、車いすが重くて押せない場合、乗車拒否できるとの見解を東タク協に示しました。
トヨタは、スロープの耐荷重200㎏から300㎏に強化したことから電動車いすも乗車できるようになった一方で、高齢乗務員や女性乗務員には、重量的に押せない場合も生じています。危険で対応困難と判断されるケースは、乗客に丁寧に事情を説明して他の車両(代車)を要請するようにとの運輸局見解が示されました。東京地連は、タクシーセンターの対応を問い合わせたところ、運輸局見解に沿い指導をするとの回答を得ています。
運輸局の回答は、「ジャパンタクシーへの車いすでの乗車について、原則として、利用者から乗車の意思を確認した場合には、一旦、乗車させることが可能か確認することとし、乗務員の身体的理由から乗車の引き受けが困難な場合には、利用者に乗車させることが困難であることを丁寧に説明した上で、道路運送法第13条第5号『天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき』として、運送の引き受けの拒絶をすることも否定されない。ただし、運送の引き受けを拒絶する場合には、他の車両を呼ぶなど、利用者の移動が確保できるよう必要な措置を講ずること」と文書になっています。
さらに国土交通省は、UDタクシーへの車いすの乗車や固定方法に関し、「Q&A」9項目を19年12月に作成しており、項目を追加していくとしています。
トヨタ「JPNTAXI」は、ユニバーサルデザインのタクシー専用車両として、開発されましたが、車いす利用の研究が不足した感は否めません。開発時に事業者のみならず障がい者団体に協力をしてもらうことが必要だったと考えます。また、東京地連に様々なトラブルが報告され、車いす対応について多くの疑問が寄せられています。今後の車両改良や開発に利用者と乗務員の意見を反映することを求めていきます。【東京地連・交通政策部】